ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第7話 違和感

Reg 
 あの後俺達は応接室に案内された。 ルギはロンドが案内している間に何処かへ行ってしまった。だから余計な事はするなと言ったのに。
 それにしても変だな。ロンドの奴、「ここは堅っ苦しいから嫌だ」とか言って、来客時以外ここには入らなかったのに。それに、見たところ使用人が1人もいないようだ。確か前は使用人は10人くらいはいた筈だが……。
「なぁロンド、俺がいない間に何があったんだ?」 
「何が、って?」 
「光の樹の事とか、お前の事とか。お前、何か変わったなと思って」 
 するとロンドは大声で笑い出した。 
「あっはは!僕が変わった?そんな訳ないじゃないか!」 
 やっぱり、何かがおかしい。 
「でも光の樹かぁ。それは僕にも分からないんだよね。でも……ねぇ、月の宝玉ってまだ持ってる?」 
「持っているに決まってるだろう。家宝だぞ。」 
 何故そんな当たり前の事を聞くのか。 
「ああ、やっぱり兄さんが持ってたんだね!」
 ロンドは手を叩いて笑う。「兄さん」と呼ばれ、漠然とした違和感が確信に変わった。
「なぁ、ロンド。」
「なんだい兄さん、そんな顔をして……」
「お前、誰だ?」 

Rugi 
 やっべ、迷った。 オレはそう呟く。この広い屋敷の中、いつの間にかレグとはぐれてしまったのだ。
 悩んでいても仕方ない。この際だから探検してみよう。見慣れない、だけど少しだけ懐かしさを感じる建物の造りを眺めていると、1つの扉が目に入った。
「むむっ、この部屋があやしーですな!開けてみよう開けてみよう♪」
 オレはそのドアを開けようとするが、 鍵がかかっていて開かない。
「……誰か…いる、の、か?」 
「えっ?」 
 ドアの奥から声が聞こえる。レグによく似た声。絞り出すようなガラガラ声。
「どうしたんだ?具合悪いのか?レグ呼んでこようか?」
「れ、ぐ……?レグが、ここにいるのかい?」 
「ああ!はぐれたけど!多分ロンドと一緒なんじゃね?あれ?ロンドで合ってるよな?」 
 レグ、あの青い髪の男をロンドって呼んでたもんな。間違いない。多分。
「!!」
 息を呑む音が聞こえる。
「だめ、だ、レグは、だまされて、」 
「騙されて?」
 たしかにそう聞こえた。よく分からないけれど、レグに聞けば何か分かるだろうか。
「お前、名前なんていうの?」 
「…ロン、ド」 
 ロンド?待てよ、レグと一緒にいる奴もロンドっていう名前で、ここにいるのも……?ああもうワケ分かんないや! 
「とにかく行ってくる!」 

Reg 
「僕が誰だって?君の弟、ロンドに決まってるじゃないか。どうしてそう思うの?」 
 ロンド……いや、偽物は余裕ぶった顔で笑っている。 
「なぁ、お前さっき言ったよな?俺の事を『兄さん』って。あいつは俺の事を『レグ』って呼ぶんだ。」 
「……へぇ」 
 俺は剣を抜き、偽物の首につきつける。 
「答えろ。お前は何者だ?」 
「……それは」 
「レグ見ーっけ!!」 
 いきなり扉が開かれる。そこにいたのはルギだった。 
「なーなーレグ、鍵知らないか鍵!なんかさ、ロンドって人が閉じ込められてるみたいでさ!」 
 「ロンド」が? 
「本物は、そこにいるのだな?」 
 俺は偽物に問いかける。やはり、こいつは偽物だったか。 
「いやぁ、参りました。」 
 扉の方から、声がする。俺でもルギでもロンドでもない声だ。 
「呼び方で偽物かどうか見抜いてしまうなんて…いやはやお見事でしたねぇ」 
 扉の方を見る。モノクルをした、執事の服を着た男性が立っていた。 銀色のうねった髪をなびかせ、紫色の目を細めて彼は笑う。
「そう。貴方の推察通り、彼は偽物です。私が作りあげた幻です。」 
 作りあげた? 
「申し遅れました。私はローディン・ベルフィス。そうだ、折角なので教えて差し上げましょう。私は夢や幻を操る魔法が使えるのです。人を眠らせたり、悪夢を見せたり、本物ソックリの幻を作り、人を騙す事を得意としております。ここにいるロンド様も、私が作り出した幻、レプリカなのですよ。」 
 偽物のロンドは、虚ろな目で笑っていた。 
「はは、ちょっと遊んでみましたが見事見抜いてくれましたね。ま、こちらとしてはここに入ってくれた時点で目的は達成出来たのですが。ちょうど貴方をどうやっておびき寄せるか考えていたところでしてね。まさかそちらから来てくれるとは思ってもいませんでしたよ。さて、少し眠っていただきましょうか。」 
 ローディンがそう言った瞬間、強烈な眠気が襲ってくる。 
「あぁ、くそ!」 
 俺は左手を机に打ち付ける。痛みで目を覚まし、 俺は剣を握り直しローディンのもとへ走った。 
「眠りませんでしたか。それではもう1度……」 
「させるかッ!」 
 剣をローディンに向かって振り降ろす。 
「おっと危ない。」 
 ローディンを庇うように、ロンドの偽物が間に入る。ローディンが受ける筈だった攻撃を、偽物が喰らった。 
「チッ」 
 思わず舌打ちをする。偽物はしばし陽炎のように揺らぎ、消えた。
「はは、すごい剣ですねぇ。何で出来てるんです?」
 彼は俺をおちょくるように笑う。構わず俺は剣を振るが、ことごとく避けられてしまう。
「さすが盗賊団の首を片っ端から跳ね飛ばした『ギーバの青鬼』です。油断すれば私も首なしになってしまいますねぇ。」
 ローディンはナイフを俺の脚めがけて振る。避ける暇もなくナイフは俺の脚を裂いた。俺がよろめいたその隙に懐からナイフを5本ほど取り出し、投げた。俺はそれを間一髪で避ける。後ろを見ると、ルギもなんとか避けたようだ。
 俺は彼に一気に近付き、剣を振り下ろす。頭をかち割ってやろうとしたが、狙いが外れ肩に当たってしまった。彼の肩から血が流れる。
「くっ、」
 ローディンの顔が歪む。もう一発食らわせてやろうと剣を構えたその時。急に力が抜けて俺は倒れてしまった。
「あぁ、危なかった。油断しましたねぇ?……」
 奴に眠らされてしまったと気づいた頃には、視界が真っ暗になってしまっていた。
 
「レグ!大丈夫か!?」
 目を覚ますと、ルギがいた。
「……あいつは?」
「逃げてったよ。レグは寝ちゃったけど、オレにはローディンの魔法?は効かなかったみたいでさ。とりあえず腕輪を使って窓の外に吹っ飛ばしたんだけど……窓の外にはいなくってさ。多分逃げたんだと思う。」
「そうか……」
 俺は立ち上がる。逃げられたのは腹が立つが、そうも言ってられない。
「ロンドは?」
 そう、ロンドがどこかにいるはずなのだ。ルギに問う。
「こっち!」
 ルギは走り出す。俺はそれについて行った。

 ルギの後をついて行くと、ある部屋の前に着いた。 
「ロンド!いるなら返事してくれ!」 
 俺は扉を叩き、叫ぶ。 
「……レ、グ」 
 扉の奥から、小さな声が聞こえる。弱って掠れた声。だが、その声はまさしくロンドのものだった。 
「そこにいるのか!?待ってろ、今助けてやるから……!」 
 ドアノブを回すが、やはり開かない。俺はドアを蹴破って中に入った。
 そこにはボロボロになったロンドの姿が。顔や手には酷い痣が出来ており、床にはひしゃげた眼鏡が転がっている。 
「大丈夫か!?」 
「……」 
 ロンドはがくんとうなだれ、何も喋らなくなった。気を失ったようだ。 俺はロンドを抱きかかえ、部屋を出た。