ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 17話 大火

Miku
ルギは凄いスピードで走っていき…わたし達はルギを見失ってしまった。
「い、いなくなっちゃった…」
「アイツ、いきなり真剣な顔になって…何かあったのか?…早く教会に行かなきゃな」
そうだ。早く行こう。…辺りが騒がしい。教会が燃えてる?水を持って来い?もしかして…!!

Rugi
「水!早く持って来い!」
「だ、駄目だ…火が強すぎる…!」
「兵士の人は!?」
「他にも火事があってこっちに来られないらしい!」
教会が、燃えてる。ぱちぱち、ごうごうと音を立て、黒く、赤くなっている。教会の前には人だかりが出来ていた。そこには修道士らしき人は1人しかいなかった。
「…あ!あなたはさっきの…!」
…さっきのシスターだ。杖のような物を持っている。…いいや、シスターじゃない。こいつは…!
「た、大変です!教会がいきなり燃えて…!」
「お前、ローディンだろ」
オレは精一杯シスター…いや、ローディンを睨みつける。
「…え?一体何を…」
「とぼけるなッ!分かってんだぞ!」
…今、分かった。オレにはローディンの術が通用しないんだ。自分の姿を変える術が。
「…ほう、やはり貴方は…」
口調が変わる。声が女性から男性になる。
「やっぱり!ローディン、お前だったんだな!教会の人達はどうしたんだ!?」
「さぁ?」
ローディンはくすくすと笑い、首にかけていたロザリオと頭に被っていたベールを放り投げる。ベールの下には、レグんちで見たあの顔が。…服は修道服のままだけど。
「ルギー!」
ミクとゾリアスが来た。…そして、オレとローディンを交互に見る。
「な、ど、どうしたの?その人は?」
「…おや、貴女とは会うのは初めてですね、ミクさん?私はローディン・ベルフィスと申します。こんな格好ではありますが、一応男でございます。以後お見知りおきを。」
ローディンはミクに向かって礼をする。
「な、どうしてわたしの名前を…」
「私は調査が得意でしてね。貴女がたの事はだいたい調べつくしているのですよ」
ミクはえぇっ!?と声をあげる。
「それって…それって…ストーカーじゃない!」
あっ、確かに。
「おやおや、ストーカーとは人聞きの悪い。まぁやってる事は同じですが」
何だ何だ?と教会の前にいた人が集まってくる。
「あのシスター、男だったのか!?」
「も、もしかして…あいつが火を…!」
「火を付けたのは私じゃないんですがねぇ…。…それより、こうやってお喋りしていていいんですか?燃えているのは教会だけではないのですよ?早く火を消さないと…ねぇ?」
ローディンはククッと笑う。他にも火事になってる場所が…!?
「おぉいローディン。目的の物は見つかったかぁ?」
突然、この場には不似合いなくらい能天気な声が響く。…そこには、赤い服を着た背の高い男が。
「えぇ、見つかりましたよ。…ヘラーノ、貴方こそ…あの娘を仲間に出来そうですか?」
ヘラーノって誰だったっけ?どこかで聞いたような…?…そうだ!放火の犯人!じゃあ教会に火を付けたのもこいつ!?
「あーあいつ?ちょーっと落ちかけてたんだがよぉ、邪魔が入っちまったぁ。やっぱアレだな、あーいうのはてめぇがやった方が良いっつーか」
あいつって誰だ?仲間にする?どういう事だ?
「…おいお前ら」
今まで黙っていたゾリアスが口を開く。
「こんな事してタダで済むと思うなよ」
「うるせぇんだよぉ、おっさん。…ま、これ以上いても仕方ねぇし、そろそろ帰るかぁ。じゃあなぁ」
ローディンとヘラーノの姿が消える。沈黙が流れ、パチパチと燃える音だけが響く。
「…そうだ、火を消さなくちゃ」
誰かが呟く。そうだよ。早く火を消さないと!
「でもどうやって?さっきから水かけてるけどちっとも火が弱まらないじゃないか!」
…ちょうどその時、空が曇り始めた。…違う、曇ってるんじゃない。あれは…雪の塊?とんでもなく大きい雪の塊が炎の光でキラキラと光っている。…それはすぐに炎の熱で溶けて、俺達に降り注ぐ豪雨となった。
「き、奇跡だぁっ!」
みんな、手を取り合って喜んでる。
「こいつはすげーや…!もしや魔術か?」
「氷…魔術…もしかして!」
ミクがばっと顔を上げる。

Reg
「……」
頭上に大きな雪の塊ができる。町を覆いつくせるのではないかと思えるほどの…。それはすぐに溶けて水となり、町に降り注ぐ。雪が溶けきった時、テノールは手を降ろした。
「……」
テノールの体がくらっと揺れ、倒れそうになる。
「…少し休め」
「大丈夫」
テノールの顔は平然としていて、あんな大魔法を使った後とはとても思えない程だった。
「…本当に大丈夫か?」
「…ん」
「それなら良いんだが…。そうだ、ルギ達の所へ行かないと…」
多分、彼らは教会の前にいるだろう。俺達は教会へ走った。

Miku
誰かがこっちに向かって走ってくる。…テノールとレグだ。
「良かった、皆無事だったか!」
「うんっ!さっきね、大きい雪の塊が空に現れてね、火を消しちゃったの!凄かったんだよ!あれってもしかしてテノールのおかげ!?」
「ああ。テノールが雪を出したんだ」
やっぱり!
「えっ!?あれってテノールがやったのかよ!すっげー!」
「………」
ルギの大声が聞こえたのか、周りの人達が集まってくる。
「…」
テノールはフードを深く被り、それを握りしめている。…怖いのかな。
「この娘が火を消してくれたのか!?」
「本当か!」
「…」
テノールは一歩一歩後ずさり、逃げようとする。
周りの人達の1人が、テノールの手を取る。テノールの肩がびくっと震える。
「ありがとうな!本当にありがとう!」
「…!…、……。」
フードから赤い目が少しだけ見える。その目は戸惑うように揺れていた。
「…さて、と。まずは怪我人の救助と町の見回り、だな。…教会の人達は?
…まさか…逃げ遅れたのか?」
「に、逃げ遅れたというか…分からないというか…」
そうだ。中にはまだ人が…!
「…行ってくる!レグは王様に報告しろ!分かったな!」
ゾリアスは教会へ走り出した。

Leg
城に行き、謁見の間へ通してもらう。
「…どうやら、そのフードの娘が魔術を使い、火を消したようです…」
そこには、先客がいた。…グレーディオの兵士だ。
「…そうか。…ご苦労じゃったな…
……おお、レグ殿!無事じゃったか!ささ、入ってきなさい。…その娘は?」
王様はテノールを見る。テノールはフードを取っている。フードをしたままだと失礼だろうと俺が言ったからだ。
「…友人です」
「そ、その者は…!」
先程の兵士が声をあげ、王様に耳打ちをする。
「……」
王様の顔がだんだん険しくなる。
「氷…か。…もしかして、先程火を消したフードの娘は…お主なのか?」
テノールは少しためらうように黙り…そして、口を開いた。
「…はい」
それを聞いた途端、さっきまで険しかった王様の顔が、いつもの優しい顔へと戻る。
「……そうか。お主はグレーディオを救ってくれたのじゃな。グレーディオの代表として礼を言わせて欲しい。…ありがとう」
「!」
テノールは目を見開く。
「…おお、そうじゃ!」
王様は手をぽんと打つ。
「お主ら、今夜はここに泊まっていったらどうかのう?」
思ってもない提案。…そういえば、今日は宿をとっていなかった。俺には、その提案がありがたいと感じた。
「王様!なりません!その者は…」
「何を言う。この者達はこの町を救ってくれたのだぞ?これくらいするのが当たり前ではないか!」
「…」
兵士はテノールを忌々しげに睨みつけると、部屋を出て行ってしまった。
「…待っておれ。今、部屋の準備を…」