ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 20話 大事なものを守る為に

Reg
ドアを開けると、俺によく似た男とテノールがいた。
「…ど、どういう事だ?」
…俺がもう1人?どういう事だよ?ってかこいつ、どうやって来たんだ?意味不明な出来事で頭も体も動けない。…ただ、そいつがテノールの腕を掴んでいるのが見えただけだ。…何故、テノールの腕を?…まさか、彼女に危害を加えるつもりなのか!?こうしちゃいられない。俺はテノールをこちらに引き寄せる。
「…チッ、」
俺にそっくりな奴は、舌打ちをして窓から飛び降りていった。
「…!…。」
追いかけようとは思わなかった。それよりもテノールが心配だ…。
テノールは床に座りこみ、何かをぶつぶつと呟きながら震えている。
「…テノール?」
「…もう…や……。こわい…さむい……すけて…。…れか………ご……なさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
呟きは謝罪の言葉へと変わっていく。幼い子供のように拙い言葉。何かを恐れるように、助けを求めるように。
「…敵。みんな、敵。周りが正義で…私は、悪者?私が全部悪いのか?私が、私が、私が私が私が…」
壊れたように呟き続けるテノール
「悪には、罰?私、また道具にならなきゃいけないのか?苦しいことさせられるのか?やだ…やだよ…怖いよぉ…っ」
…「また」?…やはり、彼女はあの牢獄で…。
「…レグも、敵なのか?」
くすんだルビーレッドの目が、こちらを向いた。怯え。諦め。敵意。…それが1つの視線となっていた。
「…私のこと、もう全部分かってるんでしょ。レグも私のこと悪者だって言うのか?」
テノールは、まだ俺達を信じられないんだ。周りは敵だらけ。誰にも助けてもらえない…そう、思っているんだ。
「…」
何も、言えない。何を言えばいいのか分からない。頭の中を絞って、回して、かき集めて…
「…俺が、守る」
出た言葉は、これだった。
「悪者だろうが正義だろうが関係ない。俺が全部守る。…だから、な?」
「…!」
一瞬、テノールが目を見開いた…気がした。
「………、……。…」
それでも、彼女から警戒心は抜けない。
だが、少しだけ。少しだけ…表情が和らいでいるような。そんな感じがした。
「…悪かったな、こんな遅くに来て。じゃ、おやすみ」
テノールの頭を軽く撫で、俺は部屋を出た。


「…『俺が守る』、か」
ずっと前から心で唱え続けてきた言葉だ。それは俺自身の願いであり、目標であった。
その言葉に鎖のようにまとわりつくのは、かつて幼なじみに言われた事だった。
『臆病者!』
ああ、俺は臆病者さ。誰かを失うのが怖いさ。だから、俺が盾になるんだ。剣になるんだ。
…あの人のように、大事なものを守る為に。