ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第30話 あの人のように

Reg
「さて、と。テノール、怪我の手当てするからこっちおいで」
ここは屋敷の使用人部屋として使われていた部屋である。机の上には包帯と塗り薬、布、板が並んでいる。ミクは「何から始めよう?」と言いながら包帯と塗り薬を手に持っている。
「道具、それで足りるか?もし足りなければ言ってくれ。部屋の外で待っている。ほら、ルギ。行くぞ。」
「はーい」
「…ありがとね、色々持ってきてくれて」

廊下に出て、扉のそばに座る。
「オレ、ちょっと屋敷の中歩いてくる。なんか歩き回りたい気分なんだ。落ち着かないんだよ。」
「そうか。迷うんじゃないぞ。あと置物には触らないように。俺とロンドの部屋には入るんじゃないぞ。あとは…」
「分かったよ!歩き回るだけだから!歩き回って本とか読めればそれでいいから!」
「本?だったら、俺の部屋の隣に書物庫がある。そこに行け。他の部屋の物は勝手に読むなよ。分かったな?」
…ルギが本を読むとは、意外だな。

「…良かった」
やっとテノールは安心してくれた。俺達を頼ってくれた。独りで抱え込まずに。
…だが、彼女は酷い怪我を負った。俺がもう少し早く来ていれば…いや、あいつらに彼女が捕まった時点で助けていれば、彼女はあんなに傷付かなくて済んだのに。あと少し、来るのが遅かったら…俺は、大切な人をまた失うことになったのだろうか。
「…」
怖い。失いたくない。だけど、俺にはまだ力も勇気も全然足りない。…守れるように、ならないと。幼い頃の俺を守ってくれた、あの人みたいに。
大切な人も、大事な物も、全部、全部…

「…」
目を開けると、テノールがいた。俺の体には毛布がかけられている。…俺、寝てたのか。毛布はテノールがかけてくれたのだろうか。
テノール、もう手当ては終わったのか?」
「うん。もう普通に動かせる。腫れたりアザになってるだけで、骨折とかはしてないってミクが言ってた。」
「そうか。ミクはどこに?」
「ご飯の準備するって。多分、キッチンにいると思う。
…レグ、何か怖い夢でも見たのか?ずっとうなされてた。」
「覚えてないな。」
「それと、レオンさんって、誰なのか?」
「!お前、何でその名前を…」
レオン・ギルガ。ゾリアス師匠の親友で、俺の伯父だった人。
「レグ、ずっと、苦しそうに呼んでた。…謝ってた。レオンさん、ごめん…って」
「…レオンさんは、俺の伯父だった人だ。…10年前、俺を庇って…殺された。」
「レグを?」
「ああ。あの人が守ってくれなければ、俺が殺されていた。…強い人だった。体も心も。俺なんかより、ずっと…」
「…」
テノールは悲しそうな顔で俺を見ている。ここは話題を変えたほうがいいな。
「ああ、そうだ。ロンドから書類の整理を頼まれてたんだった。早く終わらせないとなぁ」
俺は立ち上がり、歩く。
「私も手伝う」
テノールはとことことついて来る。
「ねえ、レグ。聞いて」
テノールは俺の手を握る。
「レグたちは私を助けてくれた。だから、私もレグたちを助ける。道具だから、とか、捨てられそうで怖いから、とかじゃなくて…私も、みんなの事が大切だから。だから…何か力になれそうな事があったら、言って。」
テノールはそう言って…笑った。
「…!」
顔が、熱くなったような気がした。