ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者逹の記録書 第33話 洞窟へ

Reg
次の日、俺は洞窟に行く準備をしていた。
「レグ、入っていいか?」
ノックの音と共に聞こえたのは、テノールの声だった。
「ちょっと待ってくれ。」
床に散らかった本やら服やらを部屋の奥に押しやる。
「よし、入ってくれ。」
ドアから使用人服を着たテノールが姿を現した。いつも着ている黒い服は破れてしまったので、ここの使用人服を借りているのだ。上着はもう使い物にはならないが、黒い服は捨てずに、ミクに教えてもらいながら直すのだそうだ。
テノールとルギは今は俺達の家で暮らしている。テノールの部屋は、俺の部屋の隣。ルギの部屋は、俺の部屋の向かいだ。
テノール、夕べ、また怖い夢を見たのか?」
「……うん」
俺の部屋にあるベッドは壁にくっつくようにして置かれている。その壁の向こうにはテノールの部屋があり、そこのベッドもその壁の近くにあるそうだ。だから、俺達はよく壁越しに話している。
ほぼ毎晩、テノールの部屋から苦しそうな呻き声が聞こえてくる。悪夢にうなされているのだ。
「怖い夢は見るけど、目が覚めた時は安心するの。だって、今は楽しいから。私、ミクのお家に行ったり、レグたちと話をしたり……。ミクも、ミクのお母さんも、色んな料理が作れるの。私、ミクたちに料理とか教えてもらってる。レグは料理できるのか?」
「いいや、全然できないな。」
「そうなのか?今度、レグにも作るね。」
テノールは微笑む。
「ありがとう。」
俺もつられて笑う。よかった。テノールは今日も笑ってくれる。
「レグ、今日はどこかに行くのか?」
テノールの視線の先には、道具を入れた鞄が。
「ちょっと遠くにな。明日には帰って来られると思うが……。」
「レグ1人で?」
「そうだな。」
「1人は、危険。私もついてく。……だめか?」
テノールは不安そうな顔をしている。
「お前は待っててくれ。本当に、俺1人で大丈夫だから。」
「……分かった。でも……ううん、何でもない。気を付けてね。」
テノールは部屋を出ようとドアを開ける。そのドアの先にはロンドがいた。細長い包みを持っている。
「やあ」
「ロンド?どうしたのか?」
「レグに用があってね。テノールはもう行っちゃうの?」
「うん。ミクのところに行く。」
じゃあね、とテノールは部屋を出て行ってしまった。
「……テノールに料理作って貰うんだって?」
「お前、何でそれを?……盗み聞きか。」
「ごめんね。楽しそうな話し声が聞こえたからさ。」
ロンドは「あはは」といたずらっぽく笑う。
「あとね、君はもうちょっと部屋を片付けたほうがいいんじゃないかな。どうせテノールが来る直前に急いで片付けて……っていうか、部屋の奥に押しやったんでしょ?」
「お前なぜそれを……!?」
その通りだ。
ロンドは、ふふん、と得意気に胸を張る。
「君のやる事なんてお見通しさ!」
「で、お前は何をしに来たんだ?俺に渡すものでもあるのか?」
「そうだよ、よく分かったね。」
「『君のやる事なんてお見通しさ!』……なんてな。」
俺はロンドの真似をする。ロンドはそれを見て笑う。
「君にこれを渡したくてさ」
そう言って、ロンドは包みを開ける。その中には、剣が入っていた。鉄で出来た、地味な見た目だが、丈夫で切れ味も良さそうなものだ。
「君の剣、折れちゃったじゃないか。そこらにあるナイフなんかよりもずっと使いやすいと思うよ。」
「ああ、剣が折れたから代わりにナイフを使おうと思ってたんだ。でもこれがあるなら心配ないな。ありがとう。」
「君の剣に使われてたあの青い石を採りに行くんだっけ。剣以外にも使えそうだね、あれ。例えば、ネックレスとか。」
「そうだな。今度作ってみるか。」
ロンドは外を見る。日はもう高く昇っていた。
「……もうそろそろ行くの?」
「そうだな。明日か明後日には帰る。」
鞄を持って、部屋の外へ歩く。
「いってらっしゃい。気を付けてね。」
「ああ。」