ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第43話 洞窟の出口へ

Tenore
 あまり眠れなかった。少し寝て、起きてを繰り返していた。気持ち悪くて、頭が痛くて……変な感じ。
「大丈夫か?」
「……だいじょうぶ……」
 レグは、ずっと私の手を握っててくれた。時々、頭も撫でてくれた。
「もうそろそろ出発するか。」
 おいお前ら起きろ、とレグはミクとルギを起こす。
「おはよ~」
「もう出発するのか?暗いから朝とか夜とか分からねーな」
 ルギはあくびをしながら起き上がる。
テノール?どうしたの?」
 ミクが私の顔を覗きこむ。ミクとルギは、あの時寝てたのかな。だとしたら、変な事言って心配かけるのは良くない、かな。知らないなら知らないままのほうが良いに決まってる。
「……何でもない」
 私はそう言った。

 私は、どうなってしまったんだろう。もうあんなことしないって決めたのに、どうして?「ギーバが危ないから」?「ロンドに迷惑がかかるから」?そうだ、どうして今まで考えなかったんだろう。私がいると、レグたちが狙われる。私を捕まえてた、ルフェーリアの人達に。私のせいで、みんな不幸になる。
『不幸になるんだったら、排除するのが当たり前なんでしょ?』
 いつか言った言葉。みんなを不幸にする私は、排除されて当然なのか?やっぱり、私は、ここにいてはいけないのか?
 ……ワタシは、イラナイ?
 違う。みんな、私のこと、友達だって言ってくれた!いらなくなんか、ない。いらなくなんか……!

Reg
 テノールは、やはり元気がないようだ。先程のことが原因だろう。彼女は悪くない……と思いたい。彼女が無表情で近付いてきた時は少し恐怖を感じたが、彼女が泣きながら俺にしがみついていた時、恐怖なんかすぐに吹き飛んだ。「何を怖がっているんだ、俺は彼女を守ると決めたじゃないか」と。だからできるだけ彼女の傍にいようと思ったんだ。たとえ、それが間違った考えなのだとしても、俺は……。
「なあ!あそこが出口か?」
 すぐそこから、光が射し込んでいる。「ああ。……行こう」
 眩しい光が俺達を照らす。
「ひゃー、眩しい!」
 ルギは目を細めながらも、外へ走り出す。ミクもそれに続く。
「……」
 テノールは顔を伏せ、暗い洞窟の中で立ち止まる。
「行こう、な?」
 俺は彼女の手を取り、一緒に歩く。外には草原が広がっている。すぐ近くで蝶がひらひらと舞っている。彼女は強く、俺の手を握っている。
「……大丈夫。だいじょうぶ……だよね?」
 彼女は震えた声で俺に尋ねる。俺は「心配するな」と笑う。そう。大丈夫だ、心配するな。だから……
 そんな泣きそうな顔をしないでくれ。





「来ましたわね。まったく、ずいぶんと待ちましたのよ。……あふ」
 小さく欠伸をしながら、彼女は呟く。
 どこからか蝶がやってきて、紫のリボンの髪飾りに留まる。彼女がそれに触れると、蝶は紫色に変わり、固まり、髪飾りの一部となった。
「ご苦労様」
 彼女は立ち上がり、扉へ歩き出す。紫色のドレスと2つに結んだ金髪が優雅に揺れる。
「ヘルとロードはいないけれど……ま、いいですわ。」
 胸にある紫の薔薇のブローチに触れると、その花びらの中の1枚が千切れ、紫の蝶に形を変え、動き出す。
「伝言、頼みましたわよ」
 彼女……メリーサは部屋を後にする。部屋では紫の蝶が1頭、机に留まっているだけだった。