ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第45話 苦しい

Miku
「……テノール、どうしたの?」
「……ミクとルギに、話さなきゃだめなの。レグはもう、知ってると思うけど。」
 テノールの声も手も震えている。
「あのことか……。無理はするんじゃないぞ」
 テノールは頷いた。
「……私は、『悪魔狩り』のせいで……もしかしたら別の理由かもしれないけど……トイフェル族としてカルリエッタの監獄にいた。そこで私は、薬の実験台にされたり、看守の代わりに他のトイフェル族の『処刑』をしたりしてて……」
「処刑って……殺すってことだろ!何でテノールが!?」
「『効率がいい』んだって。私ならまとめて凍らせて殺せるでしょ。……多分そのせいで、私、他の囚人たちにすごく恨まれてた。看守様はみんなに、死なないなら私に何をしてもいいって言ってた。だから、私、気持ち悪い事も痛い事もいっぱいされた。それで……それで…………我慢、できなくなった。」
「それでカルリエッタの監獄を凍らせた、そういうことだな。」
 テノールは頷く。
「……あの時、私、おかしくなってた。目の前で動くもの全部が憎くて、怖かった。あの人たちが二度と私を殴れないように、動かないようにしちゃえって、そう思ってた。」
 テノールは自分の腕を握る。爪の痕が残りそうなくらいに、強く。
「今でも思うの。逃げなきゃ良かったのに。そしたら、みんなに迷惑かけずにすんだのに。」
 テノールは笑う。無理矢理口角を上げた人形みたいな、不自然な笑顔。笑っているのに、目から涙を流している。
「みんなは、私をどうするつもりなのか?カルリエッタに送り返すのか?」
「……お前はどうしたいんだ?」
「一緒にいたい。あんなところ、戻りたくない。」
 テノールは顔を手で覆う。
「……もう苦しいのいや……みんなと一緒にいたい……頭なでてもらって、名前呼んでもらって、一緒にご飯食べて……。……!」
 テノールはわたしたちを見る。
「……ごめんなさい。もう、話は終わり、だから。……今は1人になりたいの。私が呼んだのに……ごめんなさい。」
 また、テノールは笑う。涙を流したままで。
「いや、だが……」
「ねえ、おねがい。ひとりに、して?」
 レグは何かを感じたのか、ゆっくりと頷いた。
「……分かった。何かあったら呼べよ。すぐに行くからな。」
 わたしたちは部屋を出た。

「うぅ……うぁぁぁ……」
 部屋を出てしばらくすると、テノールの泣く声が聞こえてきた。