ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第47話『テノール・リーディット』

Reg
 朝食を済ませた後、俺はレージェの部屋に行った。
「約束、本当に守ってくれるんだな。」
「当たり前よ。」
 昨日、俺はレージェに事情を話した後、言った。「テノールを捕まえないでくれ」と。レージェはそれに対して条件があると言った。勝負をして、俺が勝てば俺の頼みを聞いてくれるというものだ。俺達は殴り合い……俺が勝った。正確にはレージェが勝ちを譲ってくれた、と言うべきか。なんと自分から降参してくれたのだ。
「……ねえ、レグ。言おうかどうか、迷っていたのだけれど」
「どうした?」
 レージェは腕を組んで何かを考えている。
「あの子……テノールの名前のことなのだけれど……。」
 名前?
「あの子の名前はきっと『テノール・リーディット』じゃないわ」
 『テノール・リーディット』じゃない?
「……どういうことだ」
「考えてみなさい。生まれてすぐに暗い部屋に閉じ込められてたような娘よ。名前をつけてもらえる、そしてそれを覚えている……有り得ないわ。」
 確かにそうだ。
「それにね、あたしはもう1人の『テノール・リーディット』を知っているの。数年前、ルフェーリアにとある少年画家がいたの。当時15歳の若さで見事な絵を描く、と有名だったそうよ。彼の本名は『テノール・リーディット』。リーディット家の長男で、義理の弟と、妹がいたわ。」
「……!」
「……彼のペンネームは『ローディン・ベルフィス』。義理の弟の名前は『ヘラーノ・アスモッド』。妹の名前は『テレジア・リーディット』……。」
 ローディンと、ヘラーノ?それは、あいつらの名前……。
「彼らはルフェーリアに住んでいたトイフェル族。もちろん、『悪魔狩り』の被害を受けたわ。テノー……ややこしいからローディンって呼ぶわね。ローディンとヘラーノ、テレジアの誰かが彼女と何か関係があるのではないのかしら。」
 そういえば、グレーディオの城でテノールがいる部屋に行った時、奇妙な事があったな。あの部屋にはテノールと、俺にそっくりな男がいたんだ。誰かに化けることができる人物。1人だけ心当たりがある。ローディン・ベルフィス……もう1人の「テノール」だ。
「ローディンとヘラーノには会った事がある。」
「ええ。昨日聞いたわ。でもテレジアには会っていない。そうでしょう?」
「その通りだ。」
「テレジアはもしかして、カルリエッタに送られたのかもしれないわね。そこで、『15番』と呼ばれていた彼女に出会った。そして15番はテレジアを『処刑』した。」
「待て、あいつはテレジアを殺してないかもしれないだろ。」
「実際に殺したかどうかは問題じゃないわ。もしローディンとヘラーノが15番のことを知ったら……『テレジアは15番に殺されたのかもしれない』と考えるでしょう。」
 もしそうだとしたら、あいつらの考える事は1つ。復讐だ。
「……気をつけなさいよ。あの子は自分が思ってる以上の問題を抱えてる。」
「ああ、分かってる。」
 分かってるさ。俺が彼女を守るんだ。もう彼女が自分で自分を守るために誰かを殺さなくてもいいように。
「それとね、あなた自身のことも大事にしなさい。周りに気を遣いすぎて倒れたりしたら許さないから。」
 その時は目ぇ殴り潰すぐらいじゃすまないわよ、とレージェはパンチをするフリをする。
「ほら、行くんでしょ。……油断は禁物よ。分かった?」
「分かった。……行ってきます。」
 レージェは俺が部屋を出るまで、堂々と立ち、俺を見つめていた。