ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第49話 テレジア・リーディット

※今回はグロテスクな表現が含まれております。






R■adi■
『……ぐすっ、兄様ぁ……暗いよ……』
 赤毛の女の子が……テレジアが泣いている。「私」はテレジアに手を差しのべる。
『……兄様?』
『ちがう。』 
 口が勝手に動く。これは15番の記憶。私はあの女の五感や思考を使い、ただそれを観察するだけだ。
『……そこにいるの?』
 テレジアは顔を上げる。……目が、無い。看守に取られてしまったのか?
『兄様?兄様でしょう?テノール兄様!会いたかったぁ……!』
 テレジアは「私」に抱きつく。……暖かい。
『ちがう、わたしは……』
『怖かったよぉ……!』
 多分、耳も駄目になってる。これ以上苦しめる必要はない、と「私」は考えた。
 
 テレジアは家族との思い出を話し始めた。もうすぐ死ぬことが分かっている人のように。
『ヘラーノ兄様がおうちに来たこと、覚えてる?新しい家族になるんだって父様が連れてきたのよね。嬉しかったなぁ……。』
 「私」は「テノール・リーディット」になって話を聞き続けた。……多分、「私」は羨ましかったんだと思う。こんなに好かれて、愛されて、ただいるだけで誰かが笑ってくれる。だから、もし本当に「テノール・リーディット」になれたら。そう思った。
 
 多分、テレジアはもうすぐ死ぬ。こんなに細くなったんだ、「私」でも分かる。だったらそのまま静かに死なせてあげようと思った。苦しむ必要なんてない。
 ……それを、あいつらが邪魔した。
 
 その日、「私」は部屋の掃除をしなければいけなかった。血まみれの、嫌な部屋。
『に、いさま……』
 「私」はその声を聞いた。テレジアの声だ。そっちを見ると、手足を潰されたテレジアの身体が転がっていた。
『いた、い……』
 何故??何故テレジアが?私は訳が分からなかったが、「私」は何をするべきか分かっていたようだ。
『にいさま、どこ……?』
 「私」はテレジアの頭を撫でた。
『そこに、いる、の……?』
 出血がひどい。「私」なら傷口を凍らせて血を止められるけれど、そうしたらテレジアはもっと苦しむことになる。だったら、もう楽にしてあげよう。
『にいさま……ぎゅってして……』
 言われた通り、「私」はテレジアを抱き締めた。
『……』
 テレジアは動かなくなった。身体が冷たい。
『……やだ、やだやだやだ、テレジア、しんじゃ、なんで、なんで?』
 「私」は急に苦しくなった。どうして?テレジアは楽に死ねなかったのか?何でこんなに苦しまなきゃいけなかったのか?苦しいのは自分だけでいいのに、何で、何で?
 テレジアを抱き締めたまま、「私」は気を失った。
 
 やっと見ることができた記憶。それなのに、どうしてこんなに気持ちが悪いのだろう。テレジアが死ぬのを見てしまったからか?それとも私が憎んでいたあの娘は本当はテレジアを助けようとしていたことを知ったからか?何にせよ、自分勝手な理由なのは間違いない。
「……おい!ロー……」
 私がしていた事は間違いだったのか。私はあの娘にどう詫びればいいのか。
「テノー……い、起きやがれテノール!」
「!」
 目を覚ますと、ヘラーノが私の肩を揺さぶっていた。