ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第51話 予想外な怪我人

Reg
 ここはメイル高原。目の前には巨大な黒い霧の塊が広がっていて、その中心に高く黒い塔が建っている。これがレージェが言っていた霧と塔か。村を飲み込み、入った者は行方不明になったという、あの……。
「えいっ」
 ルギは腕を突きだす。腕輪の石が光り、風が起こる。風で霧が晴れる。……だが、すぐに別のところから霧が広がり、流れ込んでくる。
「あんまり意味ないなー。」
「……行くぞ」
 霧の中に足を踏み入れた。
 
 霧の中を歩いていると、何か大きなものが見えた。あれは人か?近付くにつれ、それが見覚えのある人物だということが分かった。
「ルギ、頼んでいいか?」
「ああ!」
 風が吹き、霧が少しの間だけ晴れる。そこに現れたのは、1人の男だった。茶色のコートを着ている、うねった銀髪の男。男……ローディンは振り返る。
「おや、貴方たちでしたか。」
「ローディン!どうしたんだよそれ!」
 ルギは焦ったように言う。
「どうしたんだ?」
「あいつ、腹と足を怪我してんだよ!あんなに血が……」
 ルギの顔はよく見えないが、きっと青ざめているのだろう。
「心配なら無用です。これくらいでくたばるほど弱くないのでね。」
 ルギが慌てているのに対し、ローディンはいつもの調子で話す。
「そんなこと言ったって……!……そうだ!ミク、1回戻って診てやってくれよ!」
「う、うん!」
 ルギがそこまで慌てるとは。よっぽど酷い怪我なんだろう。
「ほら、行くぞローディン」
「……ええ。」
 
 風で辺りを確認しながら、なんとか霧の外へ戻ってくることができた。改めてローディンを見る。……涼しい顔で立っている。とても怪我をしているようには見えない。
「ローディン、お前ちょっと魔法解けよ。ミクもレグもテノールも不思議そうな顔してるぞ。」
「……」
 皆、ローディンをじっと見つめている。
「……はぁ、分かりましたよ。」
 ローディンの髪が銀から金に変わり、目の色も紫から赤に変わる。顔立ちも変わり、左目の周りに火傷のような痕が現れる。……腹に目をやると、そこは赤く染まっていた。右足のズボンの裾は破られ、右足に巻かれている。ミクはそれを見て、鞄から薬の容器と包帯、袋を取り出す。
「心配は無用だと言ったはずですが。」
「いいから座ってこれでも食べてなさい!」
 ミクは袋から、乾燥させた青紫色の木の実を取り出し、ローディンの口に押し付ける。
「……ブラウド、ですか。頂いてもよろしいのですか?」
「もちろんよ。こういう時のために乾燥させて持ち歩いてるんでしょ。」
「……」
 ローディンは少しずつ木の実を口に含む。
「ミク、あれって何だ?あんまりうまそうじゃないなー」
「ブラウドの実。止血、鎮痛、解熱、体力回復の効果があるの。風邪とか怪我とかでヤバい時でもこれ食べればだいたい何とかなるのよ。……さて、と。」
 ミクはローディンの右足に巻いてあった、ズボンの裾を取る。
「ああ、傷口開いちゃってる……。染みるけど我慢してね。」
「……」
 ミクは薬の容器を開けた。