ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第52話 何とでもいいなさい

Miku
「よし」
 ローディンの手当てが終わった。足とお腹だけじゃなくて、腕や肩にも火傷や傷があった。すごく痛いはずなのに、ローディンは「何ともない」とでも言うように冷静にわたしたちを眺めていた。これ、なんか見たことあるなあ。
「まずはお礼を言わなければなりませんね。まことに不本意ですが。……ありがとうございます。」
 ローディンは無表情で言う。わたしはどういたしまして、と返す。
「次に……1つ、お伺いしてもよろしいでしょうか。」
 ローディンはまっすぐわたしを見つめている。わたしが頷くと、ローディンは口を開いた。
「何故私を助けたのです?」
「えっ、何でだろう?」
 ほぼ反射的に答えてしまった。ローディンは呆れたように溜め息を吐く。
「……貴方がたは考えなかったのですか?私を助けて何の得になるのか、とか、私が貴方がたに危害を加えるかもしれない、とか。」
 それを聞いたレグが、ふっと笑う。
「何です?」
「ああいや、同じような事言ってた娘がいたなあと思ってな。」
 レグは目を逸らす。……今チラッとテノールを見たの、分かってるんだからね。
「あのね、ローディン。わたしはそういうの考えてないの。ただ、ローディンを助けたいと思ったのよ。」
「お人好しなのですね。」
「ふふ、何とでもいいなさいっ」
 ローディンがちょっとだけ笑ったような気がした。
「そして、最後に。……申し訳ございませんでした。」
 テノールに向かって、頭を下げる。テノールはきょとんとしている。
「貴方はテレジアを殺してなどいなかった。むしろ助けようとしていたのでしょう?」
「??何のことなのか?」
 テノールは訳が分からないとでも言うようにわたしを見る。わたしも分からないよ、テノール
「テレジア・リーディット……お前の妹か。」
 レグだけが分かったように頷いている。「リーディット」?それってテノールの姓じゃ……。
「貴方は分かっているのですね。」
「ああ。俺の姉弟子がお前のファンだったんだ。画家、ローディン・ベルフィスのな。」
 画家!?しかも姉弟子って、レージェシアン女王様のこと?意外だ。
「武術以外に興味ないはずのあいつが、お前の本名や絵のモデルになったお前の家族の名前まで知ってるんだ。これはもう大ファンで間違いないだろ?」
「本名、ねえ?……面白い、言ってみなさい。」
 レグは首の後ろを掻きながら黙っていた。しばらく経ってようやく口を開いた。
「ローディン・ベルフィスはペンネーム。本名は……テノール・リーディット。」
 その場の時が止まったような気がした。