ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第61話 炎と剣

Reg
 剣を握り、ヘラーノの腕を狙って飛びかかる。ヘラーノは鎖を火の玉と共に飛ばしてきた。火の玉が周りの茨に燃え移る。こんな狭い所で火なんざ使ったら、俺達2人とも焼け死んじまう。
「……ゥ……ガァァ……」
 ヘラーノは獣のような声をあげ、火を撒き散らす。俺はそれを避けながら、ヘラーノのもとへ突っ込んだ。
 
Helarno
 ……目の前が真っ暗だ。ばさばさとはばたく羽音のような音に遮られて何も聞こえない。身体が勝手に動く。痛くて熱くて苦しくても、止まることはできない。
 ……そういえば。ずっと昔にもこんな事があったなぁ。幼い時、炎を操る力をコントロール出来なくて暴走しちまったんだ。通りすがりの少年、後のオレの親友がそれを止めてくれたんだっけ。か弱い女の子みたいな奴だったけど、意外とタフな奴だったなぁ。
「 !」
 何を言っているのか分からないけど、誰かが何かをオレに呼びかけてきている。アイツもこんなふうにオレに呼びかけてくれたっけ。懐かしいな。懐かしい、けれど。
 ごめん。またお前に迷惑かけちまうな。
 
Reg
 彼の懐に飛び込み、剣を振り下ろす。ヘラーノは鎖を張ってそれを防ぐ。
「グ、ギギ……」
 苦しんでいる。人が出すものとは思えないような呻き声を出しながら、震えている。ヘラーノは俺の腕に火をつけた。火の玉の数はどんどん多くなっていく。全身が焼ける痛みが俺を襲う。それでも、俺は剣を離さない。
「ヘラーノ!目を覚ませ!」
 ヘラーノの力が弱まった。
「……ァァアアアア!!」
 かと思いきや、彼は全ての力を振り絞るように叫んだ。何が起こったか分からないが、気付いた時には俺の身体は先程のように壁に叩きつけられていた。
「かは、」
 剣は俺の手を離れて転がってしまった。全身が熱くて痛くてたまらない。それでも、何か出来ることはあるはずだ。俺は、俺は……。
 
Helarno
 何かが吹き飛ぶ音がした。あの時もアイツを吹き飛ばして……近付いてトドメを刺そうとしたっけ。……それで、どうなったっけか。そう考えているところで、腹に衝撃が走った。相手がオレの腹を殴ったんだ。オレは衝撃に耐えられず、後ろに倒れこんだ。……ああ、そうだ。あの時もこんなふうに殴られたんだった。うねった金髪を揺らしながらオレを見下ろす可憐な少年の顔が頭に浮かんだ。
「……テノー……ル」
 アイツの本当の名前を呼ぶ。
 もう、何も聞こえなくなった。
 
Reg
 俺は立ち上がり、ヘラーノの腹をおもいきり殴った。彼は後ろに倒れ込む。それと同時に、彼を覆っていたモヤのようなものが晴れた。
「……テノー……ル」
 ヘラーノは呟き、目を閉じた。……こいつの親友であり義理の兄である男の本名。あの娘と同じ名前。
「……」
 俺ももう限界だ。がくんと崩れ落ちるように、俺の身体は倒れた。
 その時、何かが階段から落ちてきた。……ルギだ。
「……」
 ルギは苦悶の表情で口をぱくぱくと動かしている。
「~!~!!」
……真っ赤に染まった彼の服の袖から、薔薇の花が伸びていた。その葉を黒いイモムシが食べている。カサカサ、ぐちゃぐちゃと服の中から音がする。まさか、この服の中はすでに……。
「あら、まだ起きていらっしゃるの?煙でも吸って気絶していれば楽になれましたのに。」
 上から1人の女性が降りてきた。金髪を薔薇の髪飾りで2つにまとめ、足と胸が露出した紫のドレスを着ている。こいつがメリーサか。こいつが、ルギを……。
「……ゅ、る……さ……な、い」
 掠れた声しか出ない。
「あら怖い。でも今のあなたに何が出来るのかしら?それでは、ごきげんよう。」
 メリーサはわざと俺達の隣を歩いて、階段を降りていく。行かせてはいけない。立ち上がらなければ。分かっているのに、体が動かない。
 ルギの身体にいたはずのイモムシが焼けただれた俺の腕を這っているのを感じながら、俺は意識を失った。