ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

『A』 第8話 報告、帰宅

Neal
 だいたいあの犬どもは片付けた。今、オレは逃げた犬のあとを追っている。しばらくおいかけっこを続けていると、洞窟にたどり着いた。
「ここが奴らの巣か?」
 後からついてきたゼノンたちは興味深そうに眺めている
「これだけ広いと駆除も捕獲も大変だろうな。……後であいつらを呼ぶか。」
 あいつら、とは騎士団の仲間のことだろう。
「俺は騎士団と協力してここを調べる。先に帰っててくれ。お前があいつら……特に団長に会ったらトラブルになりかねん。」
 ああ、と返事をする。オレとディーは家に帰り、ゼノンは他の騎士達のいる詰所へ向かった。
 
Zeno
「あっ、ゼノンさん!おかえりなさい!」
 仲間の騎士が俺を出迎える。詰所に帰ると、そこはとんでもない悪臭で満たされていた。腐った砂糖水のような臭いだ。
「何だこの臭いは……」
「居住区に人型のストレンが出まして……今はその死体を解剖しているのです。」
「居住区に?被害はどれくらいだ?」
「建物5棟が倒壊。怪我人10名。死者3名。確認出来たのはこれだけです。今、住民の救助に何人か向かっています。」
「分かった。俺もそちらへ行く。」
「気をつけてくださいね」
 先程の洞窟の件を仲間に伝え、俺は居住区に向かった。
 
Neal
「おかえり。」
 家に戻ると、アルバが笑顔で出迎えてくれた。……何やら美味そうな匂いが漂っている。そういやもうすぐ昼飯の時間だな。……腹が減った。
「あれ?アルバ、服替えた?」
 アルバは昨日まで着ていた白いシャツを身につけていた。
「その……掃除するとき酷く汚してしまってな。洗って干してるんだ。」
 彼女は一瞬言い淀んだ。……ように見えた。
「そうか。悪いな、そんな汚いとこまで掃除させちまって。」
「構わないさ。こっちは住まわせてもらってる身なんだ、恩返しぐらいさせてくれ。」
 恩だなんて大げさな。むしろこっちが助かってるってのに。
「……」
 彼女の体がふらつく。どこか具合でも悪いのだろうか。まさか、この前の傷が開いたのか?ほぼ治っていたし、そんなことはないと思うんだけどな……。
「アルバ、大丈夫?顔が青いよ?」
「心配ない。」
 そう言って笑う彼女は、どこか苦しそうに見えた。
「あ、火をつけたままだった!すまない、また後でな。」
 アルバは逃げるようにキッチンの部屋に入った。オレは扉を開けて「何か手伝うことはないか?」と訊ねた。
「特にないかな。ご飯ができたら呼ぶからそれまでゆっくりしててくれ。」
「分かった。何か手伝える事があったら言ってくれよ?」
 ああ、とアルバは応えた。
 
 アルバに呼ばれて食卓につく。そこにはミネストローネとパンの入ったカゴが並んでいた。
「トマトが熟してたから、早めに使った方がいいと思ってな。」
「ありがとうねアルバ!いただきまーす!」
 濃厚なトマトのスープの中に、柔らかく大きめの牛肉やじゃがいも、ニンジンなどがゴロゴロと入っている。
「美味いな。この肉、干し肉だろ?よくここまで柔らかくできたもんだ。」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
 アルバは微笑む。少し顔色が悪いように見える。
「アルバ、どこか具合でも悪いのか?」
「全然。むしろ元気だよ。さっきもディーに同じようなことを言われたんだが……そんなに体調が悪そうに見えるか?」
「ああ。さっきもフラフラしてたし、疲れてるんじゃないか?ちょっと休んだらどうだ?」
 アルバは頬に手を当て考える。
「……そうだな。掃除も洗濯も済んだし、洗い物が終わったら少し昼寝でもするよ。買い物は……後で行けばいいか。」
「それがいい。……いや、買い物や洗い物ぐらいオレたちがやっておくから。飯食ったら休め。な?」
「あ、ああ。分かった……」
 アルバはミネストローネをちびちびと飲んでいる。……やっぱり具合が悪いんだろうな。
「ごちそうさま。……えっと、じゃあお願いしていいか?」
「おう、任せろ。」
 アルバは食器をさっとすすいで、そのまま置いていった。
 
Alva
 部屋のベッドに腰掛ける。靴を脱ぎ、布団の中に入る。
「……うぅ」
 身体中がずきずき痛む。先程噛まれた腕も痛い。表に出さないようにしていたつもりだったが、やはり顔に出ていたのだろうか。
 そういえば、町の人たちは大丈夫だろうか?多分先程見た鎧の男達が何とかしてくれるとは思うが。
「……」
 眠くなってきた。少しだけ寝ようか。ベッドに身を預け、私は目を閉じた。
 

………………。
『どこかの建物の中。ボロボロのドレスを着た私は台の上に立たされていた。大勢の人々が上の座席から私を睨んでいる。中には石を投げてくる者もいた。
「   !!」
 私を責める声とともに石が降ってくる。皮膚が裂けて、その血がドレスを汚す。痛い。もう聞きたくない。だが、私には泣き叫ぶことも助けを求めることも許されない。ただ精一杯の笑顔を作ってその場に立つことだけだ。たとえそれが歪みきった醜い笑顔だとしても。』
 
「……ん……」
 頭と喉の痛みを感じて起きる。先程まで日が射し込んでいた部屋は、真っ暗になっていた。
「あ……あー、あー……」
 声を出してみる。ガラガラだ。口を開けっぱなしにして寝ていたか、寝言でも言っていたのだろうか。ひどく恐ろしい夢を見ていた気がするが……。
 そういえば、ニールたちは何をしているのだろう。もう夕飯の時間だろうし、お腹を空かせているのではないだろうか。
「……」
 早く夕飯を作らないと。私は部屋を出た。
 
 下に降りてみたが、ニール達の姿はなかった。代わりに「仕事に行ってくる。明日には帰る」と書かれた紙がダイニングに置いてあった。