ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第63話 回復

Reg
「……」
 目を開けると、先程のようにヘラーノが倒れていた。イモムシや薔薇は消えていて、代わりに金の粒のようなものが俺たちの体にまとわりついていた。
「あー。レグ、起きちゃったか」
 ルギは俺を見下ろしていた。俺はばっと起き上がった。
「ルギ!怪我は!?」
 血にまみれていたはずの腹は、緑色に光っていた。ルギの腕輪の石と同じ色だ。
「ルギ、これは……」
「いやこれはダイジョーブだって!治してる最中だから!」
「治している、だと?」
「ああ!レグとヘラーノのケガはすぐ治ったけど、オレのはまだまだ時間かかりそうでさー!」
 ルギは快活な笑い声をあげる。……言われてみれば、先程までの火傷も、怪我も、痛みもきれいに消えている。全てルギが治してくれたのか。
「傷を治すなんてあの本にも書かれてなかったからダメもとだったんだけど……いやー、試してみるもんだな!傷を治すっていうか、カラダに付いてた肉を作っただけなんだけどな!」
「あの本?」
「レグんちにあった本だよ。この腕輪について書かれてたんだ。これ、アレン様の持ち物だったんだってさ!」
「アレン様?」
「えーっと、話せば長くなるんだけどな。」
 
「……つまり、『アレン様』は大昔に存在したブレイジア人の錬金術師で、トイフェル族の祖先を作った人で、メリーサとやらの恋人で、ルギの師匠だったお方だ……と。そういうわけだな?」
 ブレイジア。ニュンフェ族だけが住む伝説の国。俺もその話はグレーディオの教会で何度か聞いたことがある。伝説として語り継がれるくらいだから、ブレイジアがもし実在したとしても何百年も昔のことだろう。そんな時代にアレンとルギ、そしてメリーサは生きていたのか。
 そして今、メリーサは「呪いの子」であるテノールを使って、国一つ消滅させるような魔法を行おうとしている。……早く助けに行かなければ。
「なぁるほど、そういうコトねぇ」
 間延びした声。その声の主はいつの間にかあぐらをかいて座っていた。
「ヘラーノ」
「ブレイジアについてはローディンとメリーサからよく聞いてたんだ。だが、まさかそんな秘密があったなんてなぁ。……おっと、そんな怖い顔すんなよ。さっきは悪かったな。いやぁ、まさかメリーサに身を弄ばれちまうとはなぁ。」
 その緊張感のない声とは裏腹に、鋭い目をしていた。
「オレは先に行くぜぇ。やる事があるんでな。」
 ヘラーノは立ち上がる。彼の言う「やる事」が何なのか、俺にはすぐに理解できた。
「ローディンならメディスの城にいる。」
 そう伝えると、ヘラーノは立ち止まった。
「……へぇ?お城の牢屋にでも閉じ込めてるってか?」
「誰がいつそんな事を言った。ローディンはミク達と客室にいる。」
「……そうか、それなら大丈夫か……。……いや、アイツはオレが傍にいないと……。」
 ヘラーノはブツブツと呟いている。
「ローディンが心配なんだな。」
「当たり前だろうが。……そんじゃ、わりぃがオレは先に行くぜぇ」
 ヘラーノの体が燃えるように赤く光る、が、その光もすぐに消えてしまった。
「……あー、くそ、やっぱ使えねぇか。歩くしかねぇな」
 ヘラーノは舌打ちをして階段を降りる。
「行くか」
「おう!」
 俺とルギは顔を見合わせ、互いに頷き、ヘラーノの後を追った。
「……」
 ヘラーノは俺達をちらりと見たが、何も言わなかった。
 
「なぁ、ルギ」
 塔を出て、だいぶ歩いた頃。ヘラーノは初めて口を開いた。
「お前の話によりゃあ、オレ達トイフェルの祖先はお前の師匠やメリーサの奴隷として作られたんだっけか。」
「ああ。だから、トイフェルはメリーサたちには逆らえないんだってさ。だから、テノールとローディンも……。」
 メリーサに従ってしまう可能性が高い、ということか。
「ローディン……アイツはそこら辺は多分大丈夫だと思うがなぁ。」
「ずいぶんと楽観的だな。そう考えられる根拠は何だ?」
「……」
 ヘラーノは困ったように頭を掻く。
「アイツはなぁ、トイフェルの家系だがトイフェルじゃねぇんだ」
「??」
 ルギは困ったように俺を見る。俺もよく分からない。そんな俺達を見て、ヘラーノは口を開いた。


「あー、お前ら、『祝福の子』って知ってるかぁ?」