ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

『A』 第12話 夢の中の話?

D
 結局、夕べはあまり眠れなかった。下に降りるとアルバが朝食を作っていた。
「おはよう、アルバ。」
「おはよう。今日はずいぶんと早起きだな。」
 ふと、アルバの手を見る。指はちゃんとある。
「あ、指……」
「まだそんなこと言ってるのか。」
 アルバはいつもみたいに笑う。
「そんなことってなんだよう!怖かったんだからね!もしアルバが本当に指を切ってたらって思ったら、本当に怖くて、それで……」
 鼻の奥がつんと痛くなる。アルバはそんな僕をぎゅっと抱きしめてくれた。
「よーしよしよし、怖かったな。」
 ほんの少しだけ柔らかい胸に、顔が当たる。ちょっと恥ずかしくて顔を上げると、彼女は優しそうに微笑んで僕の頭をそっと撫でてくれていた。
「大丈夫。全部夢の中の話だ。ほら、私の手はいつも通りだろう?」
 アルバの左手が僕の頬を撫でる。彼女の真っ白な手を見て、僕は安心した。
「さて、と。」
 アルバは再び鍋に向かう。
「手伝うよ。」
「ありがとう。じゃあ、そうだな……ニールを起こしてきてくれるか?」
 うん!と返事をして、僕はニールを呼びに行った。
 
Alva
 自分は傷の治りが早いのだと気付いてから、「どこまで傷付けても大丈夫か」という好奇心から私は自分を傷付けるようになった。夕べは思いきって左手の小指を切り落としてみた。切り落としたそばからとんでもない速さで伸びていく指は、数分もすれば爪まで元通りになった。……まるで、トカゲのしっぽのようだ。指が治るのだから、腕を切り落としても治るのだろうか?……治らなかった時が怖いし、そもそも私に腕を切る力は無いからやめておこう。
 それにしても。指を切っているのをディーに見られ、その上彼にトラウマを植え付けてしまうことになるとは。傷はすぐに治るのだからどうとでも誤魔化せるだろうと油断していた。これからは彼らに見られないように気をつけなければ。私だけならばどうなっても構わないが、彼らに苦痛を与えるようなことはあってはならない。
「……」
 小指が、右腕が、背中が……いや、全身が痛む。傷が治っても痛みはちっとも治まらない。我ながらなんとまあ不思議な身体だ。作業に支障をきたさなければいいのだが。
「アルバ!起こしてきたよ!」
 ディーがキッチンに入ってくる。それに寝ぼけ眼のニールが続く。
「おはよう、ニール。」
 もうすでに出来上がった料理を並べ、私たちは席に着いた。