ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第66話 交流

Reg
 それから、俺達は情報を交換した。俺はヘラーノと戦ったこと、ルギはメリーサやニュンフェ、トイフェルのことを話した。レージェからは俺達がいない間のメディスの様子を、ミクからはメリーサがここに来たことを聞いた。
「ミク達がいた部屋に来たのか?そこまで来られておいてよくみんな無事だったな。」
「うん。ローディンのおかげよ。」
 テノールも先程同じような事を言っていたな。
「女の子2人にこんなに感謝されるなんて、やるなぁローディン。一体お前何したんだぁ?」
 ヘラーノが茶化すように尋ねる。俺も、今後の対策を練るために是非とも聞いておきたい。
「あー、えぇと、」
「縛ってもらったの」
 はっきりしないローディンの代わりに、テノールが答える。今、「縛ってもらった」と聞こえたが、気のせいか?
「動けないように縛ってもらって、クローゼットに閉じ込めてもらったの。」
 血の気がさっと引く。気付いたら彼女の肩を掴んでいた。
「レグ、どうしたのか?そんなにあわてて……。」
 何か悪かったのか?とでもいうように彼女は首をかしげる。悪い事だらけだ。
「あのね。レグ。こうしてもらわないとだめだったの。絶対に、動けないようにしてもらわないと。そうだよね、ローディン。」
「えぇ。そこまでしないとこう上手くはいきませんでしたよ。もし私が少しでも縄を緩めていれば、この娘は自ら縄を抜けメリーサ嬢のもとへ行っていたことでしょう。」
 ローディンはため息混じりに呟く。ため息を吐きたいのはこっちだ。
「レグ?」
「何でもない。テノール、頑張ったな。」
 テノールの頭を撫でる。彼女は俺の手を握り、「ほっぺも撫でて」というようにゆっくりと頬ずりをした。
 
「さて、と。今後の対策を練る必要がありそうね。暴れていたトイフェル達はとりあえず捕らえて、『何らかの病気になった患者』として、郊外にある空き家を簡易的な病院にしてそこに収容したわ。今後同じような事を起こさないためにも、何か出来ることがあればいいのだけれど。」
 メリーサのせいで町中のトイフェルの人々が暴れ、城に押し入るという事件が起こったのだったな。それをレージェは(もちろん死者も出さずに)1人で全員捕らえたのだそうだ。
「それに、ブレイジアの魔術……か。ルギの話だと、国一つ消すほどの魔法らしいが……。」
 もしそれが本当なら何としてでも止めなければならない。
「……ああ、そうだ。レージェ、アレン・ルデュークという男を知っているか?」
 彼女は頷く。アレン・ルデューク。ブレイジアの魔術を生み出した錬金術師だ。
「魔術の歴史で、いわゆる『錬金術時代』に生きていた魔術師ね。ここに住んで、錬金術の研究をしていたそうよ。ルギの話によると、ブレイジアが消滅したのは彼が生きていたこの時代のようね。」
「その時代の資料は残っているか?」
「ええ、図書館や博物館に『錬金術時代』の書物や作品が残っているわ。」
 ならば、やる事は1つだ。その図書館と博物館を訪ね、『錬金術時代』について調べる。そうすれば、メリーサに対抗するための手がかりが掴めるだろう。
「もし行くなら明日にしなさいよ。あなた達、もうへとへとでしょ。」
 レージェは俺の考えを見透かしたように、呆れたような声で言う。
「もう夜だわ。部屋を用意させるから、あなた達は今日はここに泊まっていきなさい。」
「ああ、ありがとうな。」
 そこにちょうど、使用人が入ってきた。夕食の支度が済んだそうだ。それを聞いて、俺の腹が唸った。
 いざ食堂へ行こうとすると、レージェに肩を掴まれた。
「レグ。夕食が済んだら私の部屋に来なさい、いいわね?」
 俺は頷き、食堂へ向かった。
 
 テーブルには色鮮やかな食事が並んでいた。メディステールの高級料理の特徴の1つはその鮮やかな見た目である。パプリカやトマトなどの野菜を使ってそれを表現しているのだ。美しいものを食べれば自分も美しくなれる、という迷信めいた考えが元となって生み出された、見た目重視の料理だ。肉を使う事はほとんどなく、代わりに蒸した白身魚がよく使われるのだそうだ。味付けには果物や酒(主にオレンジや赤ワイン)を使った、酸味のあるソースが使われている。……味付けについては、正直に言って俺の好みではない。昔から酸味のある物(特に柚子やオレンジ)は大の苦手なのだ。レージェやその使用人は俺の好き嫌いを分かってくれているのか、俺が座る席には、塩コショウだけで味付けされた料理が置いてあった。
「……」
 ルギはモグモグと美味そうに料理を食べる。
「美味いのか、それ。」
「うん!なんか、ゴチソウの味がするんだ!何でか分かんないけど、この酸っぱいのがちょっとだけ懐かしいような?」
 「ゴチソウ」。これはメディステールの高級料理だ。めったに食べられないという意味では、確かにご馳走かもしれない。それに……アレン・ルデュークはメディステールに住んでいたのだったな。ということは、その弟子であったルギもここにいたということだ。はるか昔のメディステールに。だとしたら、同じようなもの……昔のメディステール料理を食べた記憶が蘇ったのかもしれない。ルギの記憶が少しだけでも戻っている。これは喜ぶべきことだ。俺はルギを見守りながら、食事を口に運んだ。