ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第71話 おかあさんがまってる

Hellarno
 その日の夜。オレは廊下に出ていた。腹減った。厨房にでも忍び込んでつまみ食いでもしてこよう。そう思って歩いていると、小さな人影が目に入った。長い黒髪に、白い寝巻きを着た少女。……テノールだ。彼女もつまみ食いか?だなんて思いながら近づく。が、様子がおかしい。
「お嬢ちゃん?」
「……さん、が……おかあ、さん、が、まってる……いかなきゃ……」
 うわ言のように「おかあさんがまってる」と繰り返し呟き、ふらふらと歩く彼女。
「お嬢ちゃん。そんな事言ってないで早く寝な。」
 彼女の肩を抱き、引き返すよう誘導する。
「……じゃま、するのか?」
 テノールはオレを睨む。どうやらすんなりとオレの言う事を聞いてはくれなさそうだ。こうなったら実力行使だ。オレは彼女の腕を掴んだ。
「はなせ」
 テノールは暴れる。だが、幼い少女の力では大人の男であるオレにはとうていかなわない。オレに氷の魔法を使おうともしたようだが、オレは炎の魔法を使って氷を溶かした。
「いや、おかあさん、たすけて、どこ、どこにいるの、ねえ」
 テノールを彼女の部屋へと運ぶ。始めは抵抗していたようだが、しばらくすると大人しくなった。
 部屋に着き、ベッドに彼女を転がす。
「ごめんなぁお嬢ちゃん。こうしなきゃお前を止めらんねぇんだよぉ。」
 声をかけてみるが、反応はない。彼女は気を失っていた。
「うっわ、マジでごめんなお嬢ちゃん。」
 彼女の頭を撫でると、嫌そうに身をよじった。気絶していてもオレは彼女に嫌われているらしい。
「……」
 彼女の隣で寝転んで、監視する。またどこかへ行ってしまわないように。
「……同じような事、あったよなぁ……はぁ。『呪いの子』だの『祝福の子』だのって、皆こうなのかな……」
 頬を手で支えながら、オレはこう呟いた。