ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第73話 今日の予定は

Reg
 少し経って。俺達は集まって朝食を摂っていた。
「あなたが言っていた『星の杖』だけれど。」
 レージェはルギに向かって言う。
「ここには無かったわ。何年も前……私のお父様の代に、グレーディンのニュンレリズ教会に寄付したみたい。」
「ニュンレリズ教会、ねぇ。……もしかしてアレじゃねぇ?」
「あの杖とは違うだろう。」
 ヘラーノとローディンは何やら話し合っている。
「何の話だ?」
「……この前。グレーディンの首都グレーディオで貴方がたとお会いした時。我々は教会が保管していた『バラの杖』を盗んでいたのです。」
 「グレーディオの街で連日火事が起きている」と弟から聞き、そこへ行った時の事か。火事の犯人はヘラーノで、最後はニュンレリズ教会が管理する聖堂を含む建物数軒を燃やし、その時聖堂に潜入していたローディンと共に去っていったのだ。……そういえばあの時、ローディンは何か杖のようなものを持っていた。あれが「バラの杖」だったのか。
「バラの杖。私達が手に入れるべきものとは違うわね。」
 レージェは腕を組んで考え込む。
「街を燃やしたのはその杖が狙いだったのか?」
 俺は尋ねる。ヘラーノは難しい顔をして答えた。
「まあ、それもあるんだけどな。あそこ、監視が厳しかったからちょーっと派手な事起こして監視を緩めたんだ。いや、そんな事よりも。グレーディオの奴ら、特にニュンレリズ教会にはちょっとした恨みがあるっていうか……。」
 一瞬、ヘラーノはちらりとローディンを見た。俺達に話すつもりはないようだが、ローディン関係で何かあったのだろう。
「とにかく、これからやる事は決まったわね。グレーディオに行って、『星の杖』を貰う。それでいい?」
 レージェの言葉に俺達は頷いた。……ヘラーノとローディンを除いて。
「おいおい、オレ達も一緒にあの教会に頭下げろってかぁ?」
「今こうなっているのも半分はメリーサに協力していたお前達の責任だ。責任は取らないとは言わせないぞ。」
 そりゃ分かってるさ、と彼は苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
「だがなぁ、オレはとにかく、ローディンは絶対に行かせないぜ。もうあんな目には遭わせなくねぇんだ。」
「でもさ!」
 それに抗議の声をあげたのはルギだった。食事中にも関わらず、声を荒らげる。
「絶対一緒に行ったほうがいいって!何があったか知らないけど、オレたちだって2人がいてくれたほうが心強いしさ!」
「私は反対です。」
 ローディンは口をナプキンで拭う。
「決して我が身可愛さで言っている訳ではありません。今まで我々は貴方がたとは別行動する事を前提に準備をしてきました。昨日、手帳を売ったのもその為です。正直に言うと、今日無理矢理にでもここを発つつもりでした。今、貴方がたと行動を共にしてしまえば……何より貴方がたに被害が及んでしまう。そこまで酷い目には遭わないでしょうが、面倒な事になるのは確実です。」
「そこまでしてお前達が恐れているものは何だ?やはり教会か?」
「……」
 彼らは黙ったままだ。肯定と見なしても良いのだろうか。
「でも、やっぱ2人には一緒に来てほしいよ。な?ローディン、頼むよ!」
 ルギは真っ直ぐな目でローディンを見る。彼はしばしルギをぼうっと見ていたが、やがて頷いた。
「分かりました。」
「おいローディン、本気かよ?さっきまであんなに……」
 ヘラーノは眉をひそめる。彼の言葉を遮るように、ローディンは口を開く。
「心配するな、ヘラーノ。あの聖堂に潜入した時だって上手くやれたんだ、きっと大丈夫さ。それに、彼らだって覚悟は出来ているはずだろう。」
「あ?お前、前まで言ってた事と全然違うじゃねぇか。どうしたんだよ?」
「別に。ただこいつらには僕が何を言っても無駄なように感じてな。」
 ローディンは淡々と話す。ヘラーノはまだ顔を顰めていたが、ローディンに反対する様子もない。どうにか彼らと共に行く事が出来そうだ。
「……昼。今日の昼までに支度しろ。じゃねぇと置いてくぞ。」
 ヘラーノはコーヒーを飲み干す。分かったと俺は返事をするが、聞いていないようだ。彼は眉間に皺を寄せてぼうっとしているローディンを見つめていた。