ソウゾウセカイ

Ivyと申します。ここでは主に小説を書いたりしています。コメントや★を付けていってくだされば嬉しいです。※小説には過激な内容が含まれることがあります。思いつきで書いているので、矛盾している点が多いです。そのため、過去の記事を書き換えることがあります。ご了承ください。

冒険者達の記録書 第74話 計画

Reg
「……んで、徒歩でこのルートを通る。馬車とかは使わねぇぜ。馬は飼料だの何だの手間がかかるし目立つ。元々2人だけで出ていく予定だったし、出来るだけ身軽な方がいいと思ってな。」
 朝食の後、俺とヘラーノでギーバに帰るまでのルートを話し合っていた。
「徒歩で行くことについては賛成だ。道は……こっちから行った方が早い。」
「そっちは深い森があるだろ?」
「道が開けている所があるんだ。俺達もここに来る時はこの道を使った。」
 2人で地図を指さしあいながら話す。
「この森を通ってグレメド洞窟まで行って、ギーバに行く……か。迂回するよりずっと早いなぁ。お前、詳しいじゃねぇか。」
「何回かこの森に来てるからな。」
「ふーん」
 ヘラーノは頷く。……が、目線は別の方向へ行っているようだ。その先にはローディンがいた。彼はこちらに歩いてきた。
「よぉローディン、準備は済んだか?」
「ああ。お前の荷物もまとめておいた。」
 ありがとなローディンちゃん、とヘラーノはウィンクする。
「計画は?」
 ローディンは尋ねる。
「それがなぁローディン。レグが近道を知ってたんだ。ほら、この森をなぁ?こう……」
 ヘラーノは先程俺がしたように地図を指でなぞる。
「森か……森なら……」
 ローディンはそれを見ながら呟いている。
「……な?これなら早く着くだろ?」
「ああ、そうだな。……レグ、道の険しさはどうでしょう。歩きやすい、とか、視界が悪い、とか。」
「歩きやすくはないな。だいぶデコボコしているし、薄暗いし、道も複雑だ。野生の動物……クマや野犬……に出くわす可能性も高いし、変な化け物もうろついていた。」
 変な化け物、というのは、この前夕方の森を通った時にいたような、枯れ木の形をした化け物のことだ。これが何なのか、ヘラーノに訊けば分かるだろうか?だが、今はそんな事を尋ねる時ではないだろう。
「へ、へぇ……本当に通れるんだろうなぁ?」
 ヘラーノは不安げに俺を見る。
「言っただろ、何回かこの森に来てるって。動物を追い払うのも慣れたし、比較的楽に歩けるルートも知っている。だが、進むのはゆっくりになるかもしれないから、野宿の準備だけはしっかりしておいた方がいい。」
「野宿の道具は買っておきました。食料もきっと問題無いでしょう。」
「おっ、さっすがローディンちゃん!じゃあそこら辺は問題ねぇな!」
 よしよし、とヘラーノは地図に何か書き込む。
「……で、アイツらの事なんだが……」
「確実に目を付けられたでしょうね、あんな派手にゲリラオークションとかやったんですから。」
 「目を付けられた」?誰に?
「ちょっと私、幼い頃からニュンレリズ教会に狙われていましてね。ほら、私、トイフェル族なのに金髪でしょう?」
 今のローディンは魔法で銀髪と紫色の目に変えているが、本来の彼の姿は金髪に赤い目なのだったな。赤い目はトイフェル族と呼ばれる人種の特徴だが、金髪はニュンフェ族と呼ばれる人種の特徴だ。それはローディンが『祝福の子』……トイフェル族の両親から生まれたニュンフェの子供……であったから、らしいが……。
 そして、ニュンレリズ教会はニュンフェ族を崇拝している。その事と何か関係があるのだろうか?
「奴ら、『祝福の子』である私を狙っていまして。幼い頃に1度誘拐もされたんです。危うく去勢されて目玉も抉られ奴らに飼われるところでしたよ。」
「……」
 ローディンもヘラーノも、目が笑っていない。嘘は言っていないようだが……。
「……でも、信じられないな。あの教会がそんな事をするなんて……」
 あそこはグレーディン王国と深く繋がっている。騎士や魔導士を育てる学校であり、親のいない子供を保護する孤児院であり、貧しい者に施しを与える場でもある。もちろん、その他にも数々の慈善事業も行っている。そんな教会が、子供をさらうなんて事をするとはとても考えられない……と言おうとしたが、俺の話を遮るようにローディンは口を出した。
「1度は脱出に成功しましたが、連れ戻されてしまいましてね。誰にだと思います?」
「そりゃあ、教会の人間じゃないのか?」
「いいえ」
「全然違うねぇ」
 彼らは俺を嘲るように見下す。
「教会の本拠地、首都グレーディオの人間ですよ。貴方のように、『教会がそんな事する訳ない』と信じている者達です。」
 続けてヘラーノは口を開く。
「それだけ教会は情報操作が得意って事だな。みーんなアンタみたいにコロッと騙されちまう。アンタ、グレーディン王国に住んでるけど、教会の悪い噂なんかちっとも聞かねぇだろ?」
「……ああ」
 ヘラーノの言う通りだ。
「……ま、アレだ。今のニュンレリズ教会の強い力は国境を越えて各地に広がっている。そんな奴らがローディンを狙ってるって事、ちゃんと覚えておきな。文句は聞かねぇぜ、オレ達と行きたいって言ったのはお前らだからなぁ。」
 さて、とヘラーノは座り直す。
「レグ、もうちょい付き合ってくれねぇか。計画は綿密に練っといて損は無いからなぁ。」
「ああ。」
 まだ時間に余裕はある。3人でこの後の事を話し合った。